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第2次世界大戦の欧州戦線勝利を記念する行事で演説する台湾の頼清徳総統=2025年5月8日、台北、王思婷撮影

 台北市で8日、第2次世界大戦の欧州戦線の勝利を記念する行事が開かれ、頼清徳(ライチントー)・台湾総統が演説で「武力による侵略はすべて不正義な罪であり、必ず失敗する」と語った。台湾で同様の公式行事が開かれるのは初めてで、台湾への圧力を強める中国やウクライナに侵攻したロシアを牽制(けんせい)するとともに、欧州をはじめとする民主主義勢力の団結を呼びかけた形だ。

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 行事は台湾の外交部(外務省に相当)が開催。英国など17カ国と欧州連合(EU)の代表らも出席した。

 頼氏は欧州戦線の勃発について、拡張しようとする権威主義の野心が原因だったとしつつ、「われわれが侵略行為を軽視した結果でもある」と指摘。「第2次世界大戦の苦い経験は、(侵略者を)甘やかせば味をしめ、野心と自己満足の牙を広げるだけだということを伝えている」と訴えた。中国やロシアを念頭に「台湾と欧州は新たな強権主義の脅威に直面している」とも語った。

 また日本やドイツ、イタリアといった枢軸国について、現在ではいずれも民主主義国家になっていると述べ、「自由と民主主義だけが真の国家発展をもたらすことができると証明している」とも訴えた。

 ロシアも9日に戦勝80周年記念行事を開く予定で、中国の習近平(シーチンピン)国家主席も参加する。

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